研究テーマ03

発酵食品やお酒に関する研究:伝統的な発酵食品を知り、新たな発酵へつなぐ

(1) 野生酵母を用いたお酒の開発

富山県立大学在籍時に、大学の地域連携活動の一環として、富山産野生酵母の分離を行って、富山産クラフトビール開発のお手伝いをしました。本連携において新たに発見した「とやま産まれの酵母」(図1-1)は高いアルコール発酵能を有し、富山産クラフトビールの醸造に用いられただけでなく、清酒、ワイン、ウイスキー醸造にも用いられた実績があります。

また、ココ・ファーム・ワイナリーで発酵中のワイン樽から新たに分離された野生ワイン酵母「ccPTM18」は産生する酸に特徴があり、日本酒醸造に使うと、白ワインのような華やかさと酸味が心地よい清酒が出来上がります。

毎年、クラウドファンディングを用いて、これら野生酵母を用いた日本酒のプロデュースを行い、好評を博してます。(図1-2)

図1-1 : 富山県高岡市産二条大麦麦芽より分離された「とやま産まれの酵母」。
図1-2 : クラウドファンディングにより発売された2021年度産清酒「尾仲」。野生ワイン酵母ccPTM18を使用。オーク樽熟成酒(左)、スパークリング清酒(右)ラベルは蔵元の名前の由来である富山城主、佐々成政公。
図1-3 : とやま産まれの酵母は遺伝子解析の結果、パン酵母やビール酵母に近く、清酒酵母やワイン酵母とは遠い

とやま産まれの酵母に関する参考論文

  • 尾仲 宏康*、丸山 潤一、浅水 俊平、黒岩 真弓、北本 勝ひこ、山田 雅人、五島 徹也、赤尾 健「富山県産大麦麦芽から分離した酵母菌株「とやま産まれの酵母」の清酒醸造特性、Characterization of a wild Sake-brewing yeast isolated from barley malt in Toyama」日本醸造協会誌 114(10): 645-653 (2019)
    とやま産まれの酵母の分離同定及び清酒小仕込み試験結果を掲載

(2) 世界の発酵食品

世界には様々な発酵文化があります。伝統的な発酵は、主に生鮮食品を長期保存するために行われた食品保存法の一種でしたが、近年、発酵食品の機能性に注目が集まっており、単なる保存食の枠を超えて注目されています。世界の様々な発酵食品を実際に自らの手で作ることにより、発酵食品をより深く知ることで、新たな発酵食品開発へとつなげます。

企業、ショップ等との共同研究、ご相談も歓迎いたします。

以下の写真をクリックすると、各発酵食品の詳細が見られます。